あの日の出来事 – 鳥仲間
突然だが、私は長い一人暮らしの中で、金魚やベタをずっと飼育していた。
『ペット可』の物件がまだまだ少ないその頃、『通勤に便利な場所でペット可』の物件を探すのは困難だった。
そこで、小さな水槽で生き物を飼育するならOK! という許可を貰い、好きな水中生物や水草を眺めて暮らしていた。
仁之介がいなくなり、私達は時間を持て余していた。
放鳥していた時間に掃除でもしたらいいものを、そんなことをする気にはなれず、ただただぼんやりと過ごす日々が続いた。
外出するのも近くのスーパーのみになっていたので、私はボスに金魚でも見に行きたいと提案し、ペットショップに出掛けることにした。
のんびりとお店を回り、色んな水草だけを育てるってのも楽しそうだ……なんて思っていた頃、小鳥コーナーに辿り着いた。
ひとつのケージではマメ女子が2羽、仲良くブランコに乗っていた。
不思議なもので、マメルリハを見ても仁之介と重ねたりはしなかった。
それはボスも同じだったようで、私達はしばらく「マメは小さいね。可愛いねー」なんて言いながらほのぼのと眺めていた。
マメルリハの隣にはキレイな羽色のボタンインコが2羽。
私達は本物のボタンインコを見るのが初めてだったので、これがボタンインコかと珍しい気持ちで見ていた。
すると、こっちに雛がいると店員さんが声をかけてくれた。
プラケースにはコザクラインコが1羽とボタンインコが2羽。
まだツンツンの雛だった。
その後、再び金魚を見に戻ったのだが、お迎えしようという気持ちにはならなかった。
今思えば、ぼーっと水槽の数々を見て歩いていただけだった。
そんな時、しばらく黙っていたボスが言った。
「また鳥さんと暮らそう」
ずっと前……15年以上も前に仁之介をお迎えしていいと言ってくれたボスに、私は二つ返事でお迎えしよう! と応えた。
最後に、お迎え記念日の今日は、縹(はな)の写真を撮り始めて最初に上手く撮れた1枚を。
挿し餌をたっぷり食べて、お腹がいっぱいの縹。